ピロリ菌除菌で胃がんを防ぐ!成功率を高める最新治療と検査の全知識【東京情報大学・嵜山陽二郎博士のヘルスケア講座】

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は胃の粘膜に生息する細菌で、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、さらには胃がんの発生に深く関与しています。除菌療法は、胃酸の分泌を抑える「胃酸分泌抑制薬(PPIやP-CAB)」と2種類の「抗菌薬」の計3剤を1日2回、7日間連続で服用する治療法です。現在、日本での一次除菌の成功率は80?90%程度ですが、耐性菌の影響で失敗することもあります。その場合は抗菌薬の一部を変更した二次除菌が行われます。除菌に成功することで胃がんのリスクを大幅に減らすことが可能ですが、ゼロにはならないため、除菌後も定期的な内視鏡検査が不可欠です。副作用として下痢や軟便、味覚異常などが現れることがありますが、耐性菌を作らないために自己判断で中断せず完遂することが重要です。
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ピロリ菌除菌療法の基礎知識と胃疾患リスクの低減
ピロリ菌、正式名称ヘリコバクター・ピロリは、胃の強酸性下でも生き残ることができる特殊な細菌です。この菌が胃の粘膜に定着すると、持続的な炎症を引き起こし、慢性胃炎や萎縮性胃炎へと進行させます。長年にわたる炎症は胃粘膜を脆弱にし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには日本人の罹患率が高い胃がんの主要な原因となることが科学的に証明されています。除菌療法は、これらの疾患の発症を未然に防ぎ、将来的な健康を守るための最も効果的な手段の一つです。除菌によって胃がんの発症リスクを3分の1から2分の1程度に抑制できるという研究データもあり、早期の発見と治療が推奨されています。
診断から除菌開始までの流れと検査方法
ピロリ菌の感染を調べるための検査には、大きく分けて内視鏡を用いる方法と用いない方法があります。内視鏡検査では胃の粘膜を採取して菌の有無を確認する迅速ウレアーゼ試験や組織鏡検法が行われます。一方で、体への負担が少ない方法として、呼気を採取する尿素呼気試験、血液や尿中の抗体を調べる抗体測定法、便中の菌抗原を調べる便中抗原測定法などがあります。現在、保険診療で除菌療法を受けるためには、内視鏡検査によって胃炎の診断を受けることが必須条件となっています。検査で陽性と判定された場合、具体的な除菌スケジュールが立てられます。
除菌療法の具体的なプロセスと一次・二次除菌の仕組み
除菌療法の基本は、3種類の薬剤を組み合わせた多剤併用療法です。これには胃酸の分泌を強力に抑えるカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)と、アモキシシリンおよびクラリスロマイシンという2種類の抗菌薬が含まれます。これらを1日2回、7日間欠かさず服用します。このセットを「一次除菌」と呼びます。一次除菌で除菌が成功しなかった場合は、クラリスロマイシンをメトロニダゾールに変更した「二次除菌」を行います。二次除菌まで含めた累積成功率は95%を超えるとされており、根気強く治療を続けることが大切です。
除菌成功率を左右する要因と耐性菌の問題
除菌の成功を妨げる最大の要因は、抗菌薬に対する耐性菌の存在です。特にクラリスロマイシンに対する耐性を持つピロリ菌が増えており、これが一次除菌の成功率に影響を与えています。また、患者側の要因として、薬の飲み忘れや自己判断による服用の中止が挙げられます。服用を途中でやめてしまうと、生き残った菌が薬に対して耐性を獲得してしまい、次回の治療が困難になるリスクがあります。指示された期間を確実に守ることが、除菌成功への最短ルートです。
服用中の注意点と代表的な副作用への対応
除菌薬を服用中、一部の人に副作用が現れることがあります。最も頻度の高いものは下痢や軟便で、これは抗菌薬が腸内細菌叢のバランスを一時的に変化させるために起こります。また、口の中に苦味を感じる味覚異常や、稀に発疹などのアレルギー症状が見られることもあります。軽度の下痢であれば服用を継続しても問題ないことが多いですが、激しい腹痛や血便、ひどい蕁麻疹が現れた場合は、速やかに医師に相談し指示を仰ぐ必要があります。自己判断で減量したり、1日おきに飲むといった変則的な使い方は厳禁です。
除菌後の判定検査と長期的なフォローアップの重要性
薬の服用が終わっても、すぐに除菌が成功したかどうかはわかりません。服用終了から4週間以上(一般的には1?2ヶ月後)経過した後に、判定検査を行います。最も精度が高いとされるのは尿素呼気試験です。この検査で「陰性」となれば除菌成功です。しかし、ここで注意が必要なのは「除菌成功=胃がんにならない」ではないという点です。除菌によってリスクは下がりますが、これまでに蓄積された胃粘膜のダメージ(萎縮)は残るため、除菌後も年に一度程度の定期的な内視鏡検査を継続することが、がんの早期発見のために極めて重要です。
ピロリ菌感染予防と生活習慣のアドバイス
ピロリ菌の主な感染経路は、乳幼児期の経口感染と考えられています。特に免疫機能が未発達な5歳以下の子供への家族間感染が多いため、自身が除菌を行うことは次世代への感染連鎖を断ち切ることにもつながります。日常生活では、井戸水の飲用を避け、衛生的な環境を保つことが基本です。また、ピロリ菌がいなくなった後の胃は、酸の分泌が活発になり一時的に逆流性食道炎のような症状が出ることがあります。暴飲暴食を避け、バランスの良い食事を心がけることで、新しい胃の環境に適応していくことが推奨されます。





