うなぎの驚愕健康効果|脳も肌も若返る最強食【東京情報大学・嵜山陽二郎博士のヘルスケア講座】

スタミナ食として知られるうなぎは、極めて高い栄養価を誇り、疲労回復や夏バテ防止に優れた効果を発揮します。特筆すべきはビタミンAの豊富さで、その含有量は魚介類の中でもトップクラスであり、目の健康維持や皮膚・粘膜の保護に加え、免疫力を高める働きが期待できます。また、糖質の代謝を助けるビタミンB1がエネルギー生成を促し、効率よく体力を回復させます。さらに、脂質にはDHAやEPAといった良質な不飽和脂肪酸が多く含まれ、これらは血液をサラサラにして動脈硬化などの生活習慣病を予防するほか、脳機能の維持にも役立ちます。加えて、強力な抗酸化作用を持つビタミンEが細胞の老化を防ぎ、皮のコラーゲンが肌の調子を整えるなど、うなぎは健康維持だけでなく美容やアンチエイジングの面でも非常に優秀な食材です。
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うなぎの食文化と滋養強壮の歴史的背景
万葉の時代から続くスタミナ源としての地位
日本の食文化において、うなぎは単なる味覚の楽しみを超え、古来より最強の滋養強壮食材として崇められてきました。その歴史は非常に古く、約5000年前の縄文時代の遺跡からもウナギの骨が出土していることから、日本人が有史以前からこの魚を貴重な栄養源として利用していたことが分かります。文献として明確にその健康効果が記されている最古の例は、奈良時代末期に成立した日本最古の歌集『万葉集』に見ることができます。歌人の大伴家持は、夏痩せに苦しむ友人である石麻呂に向けて「石麻呂に 吾(われ)もの申す 夏痩せに よしといふものぞ むなぎ(うなぎ)とり召せ」という歌を詠みました。これは「夏痩せにはうなぎを食べると良いとされているから、捕って食べなさい」という意味であり、この時代すでに「夏バテや体調不良にはうなぎが効く」という共通認識が社会に存在していたことを如実に物語っています。江戸時代に入ると、平賀源内が、客足の落ちる夏場にうなぎを売るためのキャッチコピーとして「土用の丑の日」を考案したという説が有名ですが、これは単なる宣伝文句にとどまらず、実際に夏の暑さで消耗した体力を回復させるために理にかなった習慣として定着しました。東洋医学(漢方)の観点からも、うなぎは「気」と「血」を補う食材とされ、生命力を底上げし、身体を温め、足腰の衰えを補う効果があるとされています。このように、うなぎの健康効果は現代の栄養学で解明される遥か昔から、日本人の経験則として深く根付いており、季節の変わり目や体力が低下した際に心身を立て直すための「食の切り札」として機能し続けてきたのです。
驚異的なビタミンA含有量とその多面的な生体調節機能
視覚機能の維持と粘膜免疫システムの強化
うなぎの栄養素において最も特筆すべき特徴は、他の魚介類や食材を圧倒的に凌駕するビタミンA(レチノール)の含有量です。一般的な蒲焼き一人前(約100グラム)を摂取するだけで、成人男性が1日に必要とするビタミンAの推奨量を十分に、あるいは過剰なほどに賄うことができます。ビタミンAは、人体において極めて多岐にわたる生理機能に関与していますが、その筆頭として挙げられるのが視覚機能の維持です。網膜に存在し、光を感じ取るために不可欠な物質である「ロドプシン」の主成分となるのがこのビタミンAであり、その不足は暗い場所で物が見えにくくなる夜盲症を引き起こす原因となります。現代社会においては、パソコンやスマートフォンの長時間使用による眼精疲労やドライアイが深刻な問題となっていますが、うなぎに含まれる豊富なビタミンAは、角膜や結膜の細胞を正常に保ち、涙の量を安定させることで、これらの現代病から目を守る強力な盾となります。さらに、ビタミンAの効果は目だけにとどまりません。「粘膜のビタミン」とも呼ばれるように、鼻、喉、肺、消化管などの粘膜上皮細胞の形成と修復を促進し、粘膜のバリア機能を強固にする働きがあります。ウイルスや細菌などの病原体は主に粘膜から体内に侵入しようとしますが、ビタミンAが充足している状態では、これらの侵入者に対する物理的な防御壁が強化されるとともに、粘膜表面での免疫物質(IgA抗体など)の分泌機能も正常に保たれます。つまり、うなぎを食べることは、風邪やインフルエンザなどの感染症に対する抵抗力を体内から高めることと同義であり、免疫システム全体の司令塔をサポートする重要な役割を果たしているのです。
細胞分化の制御と発がん抑制の可能性
ビタミンAの機能は、単なる組織の維持だけに留まらず、細胞の分化(細胞が特定の機能を持つように変化すること)と増殖を正常にコントロールするという、生命の根幹に関わる役割も担っています。人体を構成する60兆個の細胞は常に新陳代謝を繰り返していますが、このプロセスにおいて遺伝子のコピーミスなどが起きると、異常細胞、すなわちがん細胞が発生するリスクが高まります。ビタミンAは細胞核内の受容体と結合し、遺伝子の発現を調節することで、細胞が正常な形と機能を保ったまま分裂・増殖するように誘導します。この作用により、上皮細胞の癌化を防ぐ効果が期待されており、特に肺がんや胃がんなどの上皮性のがんに対する予防効果に関する研究が進められています。また、皮膚細胞においては、ターンオーバー(生まれ変わり)を正常化する働きがあり、古い角質が剥がれ落ち、新しい細胞が生まれるサイクルを整えます。これは肌のくすみやごわつきを改善し、ニキビや吹き出物などのトラブルを防ぐことにも繋がります。うなぎに含まれるビタミンAは、サプリメントなどの合成ビタミンとは異なり、良質な脂質とともに食品として摂取されるため、体内への吸収率が非常に高く、効率的に全身の細胞へと届けられます。このように、うなぎは単なるエネルギー源ではなく、細胞レベルで身体の設計図を正常に保ち、生命活動の質そのものを高めるための精密な調節因子を含んだ食材なのです。
エネルギー代謝の中枢を担うビタミンB群の相乗効果
ビタミンB1による糖質代謝と疲労物質の除去
「スタミナ食」としてのうなぎの真価は、ビタミンB群、とりわけビタミンB1の豊富さにあります。私たちが食事から摂取した米やパンなどの炭水化物(糖質)は、そのままでは活動のためのエネルギーとして利用することができません。これらを分解し、最終的にATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー通貨に変換する過程で、補酵素として不可欠な働きをするのがビタミンB1です。もしビタミンB1が不足すると、糖質の代謝がスムーズに行われず、エネルギーが生み出せなくなるため、食べたものが無駄になるだけでなく、不完全燃焼の燃えカスである乳酸やピルビン酸などの疲労物質が体内に蓄積してしまいます。これが慢性的な疲労感や倦怠感、いわゆる「夏バテ」の正体の一つです。うなぎには、このビタミンB1が非常に豊富に含まれており、摂取した糖質を速やかにエネルギーに変えることで、疲労回復を強力にサポートします。特に夏場は、暑さで食欲が落ちて麺類などの炭水化物に偏った食事になりがちですが、そうめんやうどんだけを食べているとビタミンB1が不足し、余計にバテてしまうという悪循環に陥ります。ここにうなぎを取り入れることで、糖質代謝の回路が円滑に回り始め、スタミナ切れを防ぐことができるのです。また、ビタミンB1は神経伝達物質の合成にも関わっており、不足するとイライラや集中力の低下、手足のしびれ(脚気)などを招くことがありますが、うなぎの摂取は中枢神経や末梢神経の機能を正常に保ち、精神的な安定をもたらす効果も期待できます。
ビタミンB2とB12による脂質代謝と造血作用
うなぎにはB1以外にも、ビタミンB2やB12といった重要なB群ビタミンがバランスよく含まれています。「発育のビタミン」とも呼ばれるビタミンB2は、主に脂質の代謝に関与し、脂肪をエネルギーに変える際に必須の役割を果たします。また、皮膚や髪、爪などの再生を助け、口内炎や口角炎の予防にも効果的です。脂質の多いうなぎですが、その脂質を燃焼させるためのB2も同時に含んでいるため、理にかなった栄養構成と言えます。一方、ビタミンB12は「赤いビタミン」とも呼ばれ、葉酸と協力して赤血球中のヘモグロビンの生成を助ける造血作用を持っています。正常な赤血球が作られなければ、全身に酸素を運ぶ能力が低下し、貧血によるめまいや立ちくらみ、息切れなどの症状が現れます。うなぎに含まれるB12は、動物性食品にしか含まれない栄養素であり、植物性の食事中心では不足しがちな成分です。さらに、B12は神経細胞内の核酸やタンパク質の合成を修復する働きもあり、末梢神経の傷を治したり、睡眠のリズムを整えたりする効果も示唆されています。このように、うなぎに含まれるビタミンB群は、単独ではなく互いに助け合いながら、エネルギー産生、疲労回復、皮膚粘膜の健康、そして血液や神経の維持という、生命活動の維持に不可欠なシステムを複合的に支えているのです。
良質な脂質がもたらす循環器系と脳機能への恩恵
EPAによる血液浄化作用と生活習慣病予防
「うなぎは脂っこい」というイメージを持たれがちですが、その脂質の質にこそ、うなぎの健康効果の鍵が隠されています。うなぎの脂には、人体では合成することのできない必須脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が極めて豊富に含まれています。EPAは、血管や血液の健康維持に特化した脂肪酸であり、高い血小板凝集抑制作用を持っています。これは簡単に言えば、血液が固まるのを防ぎ、血栓ができるのを予防する働きです。また、血管の柔軟性を保ち、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロール(LDL)を減らし、逆に善玉コレステロール(HDL)を増やす効果も確認されています。現代人の食生活は欧米化が進み、肉類に含まれる飽和脂肪酸の摂取過多により血液がドロドロになりやすく、それが高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞といった重篤な生活習慣病の引き金となっています。うなぎに含まれるEPAは、こうしたリスク要因に対して強力な対抗策となり、血液をサラサラの状態に保つことで、循環器系の健康を根底から支えます。特に、脂の乗ったうなぎほどこれらの不飽和脂肪酸が多く含まれており、こってりとした味わいの中には、実は血管を守るための薬理的とも言える成分が凝縮されているのです。
DHAによる脳神経の活性化と認知機能の保護
EPAと並んで重要なオメガ3系脂肪酸であるDHAは、主に脳や神経組織に多く存在し、脳の構成成分として欠かせない物質です。DHAは脳の神経細胞(ニューロン)の膜を柔らかくし、細胞同士の情報伝達をスムーズにする働きがあります。これにより、記憶力や学習能力の向上が期待できるため、成長期の子供の脳の発育において極めて重要な栄養素とされています。また、高齢者においては、加齢に伴う脳の萎縮や機能低下を抑制し、アルツハイマー型認知症などの予防に役立つ可能性が多くの研究で示唆されています。脳の海馬という記憶を司る領域には特にDHAが多く必要とされるため、うなぎから効率的にDHAを摂取することは、脳の若々しさを保つための賢明な戦略と言えます。さらに、DHAにはセロトニンなどの神経伝達物質の量を調整し、精神を安定させる効果もあると考えられており、うつ病や不安障害のリスク低減との関連も研究されています。目においても、網膜の脂肪酸の多くをDHAが占めており、視力の維持や改善にも寄与します。このように、うなぎの脂質に含まれるDHAとEPAは、身体の巡りを良くするだけでなく、司令塔である脳と情報の入り口である目の機能を物理的・化学的にサポートし、Quality of Life(生活の質)の維持に大きく貢献しています。
アンチエイジングと美容を支える抗酸化ネットワーク
ビタミンEとコラーゲンによる若返り効果
うなぎは、健康維持だけでなく、美容やアンチエイジングの面でも「食べる美容液」と呼べるほど優秀な食材です。その理由の一つが、強力な抗酸化作用を持つビタミンE(トコフェロール)の存在です。私たちの身体は、呼吸によって取り入れた酸素の一部が活性酸素に変化し、細胞を酸化(サビつき)させることで老化が進行します。この酸化ストレスは、シミ、シワ、白髪などの老化現象だけでなく、動脈硬化やがんなどの病気の原因にもなります。ビタミンEは、細胞膜の脂質部分に入り込み、自らが身代わりとなって酸化されることで、細胞膜が活性酸素によって破壊されるのを防ぐ働きがあります。この作用により、血管や肌の細胞が若々しく保たれるため、ビタミンEは「若返りのビタミン」と称されます。特筆すべきは、ビタミンEはビタミンAやビタミンCと一緒に摂取することでその抗酸化力が相乗的に高まるという性質がある点です。うなぎにはビタミンAも豊富に含まれているため、単体で摂るよりも強力な抗酸化ネットワークが体内で構築されます。さらに、うなぎの皮の周辺には良質なコラーゲンがたっぷりと含まれています。コラーゲンは肌の真皮層を構成し、肌の弾力やハリを保つための主要なタンパク質です。うなぎのプルプルとした食感のもとであるコラーゲンを摂取することで、肌の水分保持能力が高まり、内側から潤いのある肌を作ることができます。
ミネラル類の補給と骨密度の維持
加齢とともに気になる骨の健康についても、うなぎは強力な味方となります。うなぎにはカルシウムが豊富に含まれていますが、単にカルシウムがあるだけではありません。カルシウムが腸管から吸収され、骨に沈着するためにはビタミンDの助けが不可欠です。うなぎはこのビタミンDも豊富に含んでいるという、骨形成において理想的な「セット食材」なのです。現代人は日光浴不足などでビタミンDが不足しがちであり、これが骨粗鬆症のリスクを高めていますが、うなぎを食べることでカルシウムとビタミンDを同時にチャージでき、骨密度を維持し、骨折のリスクを減らすことができます。また、味覚を正常に保ち、タンパク質の合成や免疫機能に関わる亜鉛などのミネラルもバランスよく含まれています。亜鉛は細胞分裂が活発な組織で必要とされ、肌や髪の生まれ変わりを助けるほか、生殖機能の維持にも重要な役割を果たします。「精力がつく」と言われる背景には、この亜鉛の働きも大きく関係しています。このように、うなぎは酸化による老化を防ぎ、肌や骨の構造を維持し、生殖機能を含む全身の活力を保つための成分が凝縮された、究極のアンチエイジングフードなのです。
摂取における注意点と効果的な食べ合わせ
過剰摂取のリスクと消化を助ける工夫
これほどまでに健康効果の高いうなぎですが、摂取にあたってはいくつかの注意点も存在します。まず最も重要なのが、ビタミンAの過剰摂取リスクです。ビタミンAは脂溶性ビタミンであり、水溶性ビタミンと違って体外に排出されにくく、体内に蓄積されます。特に妊娠初期の女性がビタミンAを過剰に摂取すると、胎児に奇形が生じるリスクが高まるとされています。通常の食事頻度であれば問題になることは稀ですが、毎日大量に食べるような極端な摂取は控えるべきであり、妊婦の方は医師の指導に従うか、摂取量を調整することが推奨されます。また、うなぎは脂質が多くカロリーも高めであるため、肥満傾向にある人や脂質制限が必要な人は食べ過ぎに注意が必要です。さらに、うなぎの脂は濃厚であるため、胃腸が弱っている時には消化不良を起こす可能性があります。ここで役立つのが、うなぎに付き物の「山椒(さんしょう)」です。山椒に含まれる辛味成分サンショオールや香り成分シトロネラールには、胃酸の分泌を促して消化を助け、胃もたれを防ぐ効果があります。また、解毒作用や代謝促進作用もあり、脂っこいうなぎの消化吸収をスムーズにするための先人の知恵が詰まった最高のパートナーと言えます。これらの特性を理解し、適切な量と食べ合わせを意識することで、うなぎの持つ健康パワーを最大限かつ安全に享受することができるでしょう。







